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ノーベル賞受賞者らが登壇するHFSPシンポジウムが東北大学で開催されました                   RMセンターはHFSPグラントへの応募を支援します

2025.10.30

<要旨>

10月1日、東北大学でHFSP(Human Frontier Science Program)シンポジウム「東北大学HFSPサイエンス・サミット2025」が開催されました。このイベントにはノーベル賞受賞者3名を含む著名な研究者6名が招待され、若手研究者が直接助言を受けるワークショップや招待講演者による講演会が設けられました。HFSPによる異分野融合的・国際的な基礎研究に対する支援が紹介され、本学の研究者による同取り組みへの挑戦が奨励されました。RMセンターではHFSPが提供する研究グラントへの皆さんの挑戦をサポートします。

 

<HFSPシンポジウムが開催されました>

10月1日に本学の青葉山コモンズと災害研の多目的ホールを会場として、HFSP(Human Frontier Science Program)のシンポジウム「東北大学HFSPサイエンス・サミット2025」が開催されました。HFSPは国際的な研究助成団体で、ライフサイエンス分野の基礎研究について、学際的・国際的・挑戦的なアプローチを支援するユニークな取り組みで有名です(後述)。今回のシンポジウムの主な目的は、HFSPが提供する研究助成プログラムのプロモーションですが、招待講演者にDr. Timothy Hunt※1、Dr. Martin Chalfie※2、Dr. Randy W Schekman※3の3名のノーベル賞受賞者と、Dr. Franz-Ulrich Hartl※4、Dr. Jacob Hanna※5、Dr. Stephen Quake※6の3名のHFSP中曽根賞受賞者が名を連ねるという豪華なイベントに、若手研究者を中心に本学の研究者が多数参加しました<ニュース>。また、RMセンターを含む研究推進・支援機構に所属する多くの事務職員やURAが、準備の段階から多方面に渡って今回のイベント開催を支援しました。

午前に行われたワークショップでは、本学の若手研究者と講演者がいくつかのコーヒーテーブルを囲むように座り、若手研究者が紹介する研究成果や研究計画について、膝を突き合わせて議論する時間が設けられました。自身の研究内容について世界的な研究者達から直接アドバイスを受けるという貴重な経験について、参加した若手研究者からは「刺激を受けた」といった喜びの声が多数寄せられました。また、招待講演者やHFSPスタッフからも「若手研究者と密に議論できた良いイベントだった」という高い評価をいただきました。

 
 

午後の講演会では、6人の招待講演者によって、基礎研究の楽しさや重要性に絡めて、HFSPが提供する研究支援の価値や有用性が紹介されました。HFSPの研究グラントは、そのユニークな制度設計に加えて、グラントに採択された研究者の中から、今回の講演者を含めて31人のノーベル賞受賞者が誕生している実績から、優秀な若手研究者にとっての登竜門としても知られています。Dr. Timothy Huntは講演の中で、”New Horizons. New friends.”(新しい友達が増えれば、新たな研究分野の開拓につながる)という言葉で、本学の研究者によるHFSPグラントへの挑戦を奨励しました。その他にも、「リスクを取る事を恐れるな」「日々継続あるのみ」「数年成果がでなくても諦めないで」といった多くの励ましの言葉が、講演者から本学の研究者に贈られました。講演会の最後は、本学の杉本亜砂子研究担当理事がDr. Huntの言葉”New Horizons. New friends.”を引用しつつ、本学の研究者によるHFSPグラントへの挑戦を鼓舞する挨拶で締めくくり、シンポジウムは盛大な拍手で幕を閉じました。

 
 
 
 

<HFSPが提供する研究グラントについて>

ここで、HFSPとHFSPが提供する研究グラントについて紹介します。HFSPは1987年の日本の中曽根首相(当時)による提唱を契機として創設された、日本に縁の深い国際的な研究助成団体であり、国外でのポスドク研究を支援する<フェローシップ・プログラム>や、先進的な研究計画に対する<研究グラント・プログラム>を提供しています。HFSPが支援する対象はライフサイエンス分野の基礎研究に限定されますが、そのアプローチは非常にユニークで、研究グラントの場合は、異分野融合的で、国際的な、新規の研究チームによる野心的な研究計画であることが応募条件として課されます。HFSPグラントの採択率は例年3~5%と非常に低いですが(2024年は4.8%:全世界から711件の応募があり、100件が一次審査を通過、二次審査を経て34件が採択された)、Early Careerを対象とした募集枠があり(研究チームの構成メンバー全員が独立した研究ポストに就いて5年以内、かつ博士号を授与されてから10年以内)、キャリアの浅い若手研究者には重点的にチャンスが与えられています。審査は難関ですが、採択された研究課題には自由な裁量で使える潤沢な研究費が支給されますし(年間30~50万ドルが3年間)、研究計画は専門分野横断的(学際的)な研究者チームによる挑戦であることが必須なので、ライフサイエンス分野の研究者だけでなく、数学、コンピュータサイエンス、ナノテクノロジー、化学、工学、物理学、材料科学などを専門とする研究者にとっても挑戦可能な、魅力的な研究グラントとして世界的に認知されています。

 
 

<RMセンターはHFSPグラントへの挑戦をサポートします>

最後に、HFSPグラントへの応募に関してRMセンターが提供可能なサポートについて紹介します。HFSPグラントへ応募する場合、特定の条件を満たした研究チームを結成する必要がありますが、その条件は要約すると以下の3点になります。

  • 専門分野が異なる研究者で構成されるチームである
  • チームの研究者は共著の研究論文がない
  • 異なる国に所属する(できれば異なる大陸)研究者で構成されるチームである

多くの研究者の皆さんにとって、これらの条件を満たしつつ、挑戦的な研究課題に一緒に取り組んでくれる共同研究者を探すことは大きなハードルであることが予想されます。そのような皆さんの悩みに対して、RMセンターでは、皆さんの研究計画や要望をもとに、各種の分析ツールを利用して、条件を満たす共同研究者の候補を効率よくリストアップすることが可能です。ライフサイエンス分野以外の研究者の方についても同様に、ライフサイエンス分野を含む共同研究者の候補をリストアップすることが可能です。学際的なアプローチであれば、明らかにすることができるかもしれない野心的な研究テーマをお持ちの方は、是非一度、RMセンターに<気軽にご相談下さい>。

 

※1 細胞周期に関わるサイクリンの発見で2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞
※2 GFPを用いた生命現象の可視化技術の確立で2008年にノーベル化学賞を受賞
※3 真核生物の細胞における細胞膜や小胞輸送に関する研究で2013年にノーベル生理学・医学賞を受賞
※4 タンパク質凝集病に関わる分子シャペロンの研究で2022年にHFSP中曽根賞を受賞
※5 胚性幹細胞や細胞のリプログラミングに関する研究で2025年にHFSP中曽根賞を受賞
※6 マイクロ流体力学などを用いた生命の新しい計測技術で2013年にHFSP中曽根賞を受賞
 
 

<リンク>

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